リンカーンの幽霊列車
受験を控えた中学3年生の冬。
家族が眠り、静かになってから
2階の自室で数時間の勉強をする日々を過ごしておりました。
ある夜中、
ゴゴゴーという重い機械音がし、
くるくる回りながら光る黄色いランプがカーテン越しに見えました。
ちらと時計を見ます。
別の日。
やっぱりほぼ同時刻にやってくるのです。
その音と光が。
「もしや・・。いや、そんな馬鹿な・・・」
自分の恐ろしい考えを頭の中で打ち消しました。
なのに、また翌日。
そう、同じ時刻に例の音と光。
こうなったら、もう止まりません。
「こりゃあ、もう、リンカーンの幽霊列車に違いない」
読書ばかりしていた子どもの頃、
読んだことがあったんですね。
リンカーンの幽霊列車の話。
それからは、勉強をしていても、
リンカーンが来る時刻ばかりに気を取られ、
集中できなくなってしまいました。
ある夜、思い切ってカーテンを開けて確かめようとしたんですが、
もしも、リンカーンが恨めしそうな顔をして、
窓越しにこちらを見て浮かんでいたらと思うと
(だって、そういう挿絵があったんだもん)
カーテンを握る手が震え、
それもかないませんでした。
母に相談してみても
「あら、そう。あんたも大変ね。」・・・みたいな反応で
とても夜中まで起きていてくれ、
一緒にリンカーンに会ってくれる雰囲気ではありません。
やむを得ない。
ついに確かめてみることにしたのです。
本当にリンカーンの幽霊列車が来ているなら、
友人たちにも教えねばならないし。
そうして、夜中。
いつもの時刻にそれはやってきました。
カーテンの隙間から
恐る恐る外を覗くとそこには・・・・・・・・・・1台の大きな除雪車が。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおお。
そうだったのか!
大きな道路に面してなかった当時のわが家の前の道路の除雪は
どうしても遅い時刻になってしまっていたのでしょう。
全てに合点がいき、
安心して勉強に励むことができたのでした。
今思えば、
「あのリンカーンが紋別の片田舎に住んでいる私に
毎夜のように会いに来るはずもないじゃろが!」
・・となるのですが、
子どもというのは思い込みが激しいものです。
経験値も低く、
科学的思考も未発達なので
必要のない恐れやぬか喜びや悲しみ、共感などのをたくさん感じながら、
大人になっていくようにできているのでしょうね。
今朝、7時前。
ベッドの中でウトウトしているときに除雪車が入り、
ふいにリンカーンのことを思いましました。
朝に夕に除雪をしてくださるみなさん、いつもありがとうございます。
ちなみに
「リンカーンの幽霊列車」
改めて検索すると出てまいりました。
アメリカでは有名らしいですよ。
(ホントかな)
(事務&FP)