道新かわら版12月号(被害届と告訴)
相談24 被害届と告訴の違い
私(太郎)は、ある人にお金を騙し取られてしまいました。
どうしても、その人のことを許すことができません。警察に犯人を捕まえてほしいです。
そのためには、どうすればいいでしょうか。
回答
まず、多くの方は、警察署に行き、被害届を提出するのではないでしょうか。
被害届は、犯罪事実の申告を捜査機関にするものです。
ただ、被害届を受理した捜査機関が、捜査を開始するかというと、事実上、始めることもありますが、被害届受理により法的に捜査義務は課されておりません。
では、どうすれば、捜査機関に捜査を義務付けることができるでしょうか。
そのためには、告訴という手続をする必要があります
告訴とは、犯罪の被害者等が捜査機関に対して犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示のことをいいます。
告訴は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員(簡単にいえば警察官)にしなければなりません。
告訴を受けた捜査機関は、単なる被害届や犯罪の通報を受けた場合と異なり、告訴に関する書類及び証拠物を速やかに検察官に送付しなければなりません。
また、検察官は、捜査の結果公訴を提起したか、あるいは提起しなかったかの結論を告訴人に通知する義務を負います。公訴を提起しなかった場合に、不起訴理由告知の請求があるときは、その理由を告知しなければなりません。
さらに、告訴人には、検察官の不起訴処分に不服がある場合に検察審査会の審査を求める権利が与えられております。
このように、告訴により、捜査機関は重たい義務を課されることとなります。
ただ、告訴は犯人を知った日から6か月以内にしなければならないことに注意しましょう。