道新かわら版11月号(相続放棄)

相談23 事実上の相続放棄と正式な相続放棄

私(太郎)は、3人兄弟ですが、先日、父が住宅ローンと住宅を残して死亡しました。

私は、父と同居していたため、住宅ローンを私が支払う代わりに住宅を相続することとし、
他の兄弟たちは相続放棄をする、という遺産分割協議書を作成しました。
この遺産分割協議で問題ありませんよね。

 

回答

うーん、これは、危ない遺産分割協議ですね
太郎さんのご兄弟は、遺産分割協議の中で「事実上の相続放棄」をしております。

しかし、仮に、今後、太郎さんが失業等により、住宅ローンの返済ができなくなった場合には、
太郎さんのご兄弟2人が、住宅ローンを支払うこととなります。

そうならないために、太郎さんのご兄弟は、お父様の最後の住所地の家庭裁判所に対し、相続放棄手続をする必要がありました。
これが正式な相続放棄手続となります。

太郎さんのご兄弟2人は、後々の住宅ローン支払を免れるために、正式な相続放棄手続をすべきでした。

また、太郎さんが住宅ローンを引き継ぐことにあわせて債権者と協議したうえで抵当権の再登記
(たとえば、債務者を父親から兄にしたという登記)をすることで、兄弟らが支払を免れる方法もありました。